東京都 様
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水産物等の食品衛⽣監視
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ノーコード活用ハンズオンセミナー 「売上アップと人手不足解消への道しるべ」に弊社副社長の木村琴絵(四宮琴絵)が講師として登壇します
紙とペンのままだと DX にはならない。「慣れ親しんだアナログな⼿書き」と「デジタル化」の橋渡しとなったのが⼿書き2プラグインです。
◯kintoneを導入する前はどのような形で業務をされていましたか?
東京都福祉保健局の市場衛⽣検査所では、豊洲市場の水産物等の衛⽣監視を⾏っています。
監視員が市場内を回りながら、チェックリストの項目について仲卸事業者に食品の取扱い状況等を確認し、記録を取っていくというものです。チェックリストは紙で、そこに確認内容をペンで記⼊した後、エクセルにデータを打ち込んでいく流れでした。
◯その時の課題はどのようなものがありましたか?
チーム内での情報共有のしにくさが課題でした。ご存知の通り、豊洲市場は広いです。監視業務はチームに分 かれて市場内を巡回するわけですが、仲卸事業者からの質問や有毒⿂対応など、その場で回答と判断が求められる場⾯も出てきます。限られた⼈員で同時に巡回するため、チーム同⼠で、さらにはチームと事務所との間でのリアルタイムな情報共有は難しく、確認を要する事項であった場合は、職員が一旦事務所に戻って確認した後、もう一度仲卸事業者の所に出かけて説明していました。
移動時間が⾮効率であるだけでなく、仲卸事業者には仕事中にご対応頂いているため、当⽅の⾮効率さが仲卸業事者の仕事に⽀障を与えることもありました。チームだからこそ発揮できたはずの情報共有の強みが、コミュニケーションツールが無いことによって⽣産性に繋がっていかない状況も見受けられました。
◯kintone はどのような経緯で導⼊されましたか?
大きな背景としては、まずは都政の構造改⾰です。デジタルの力を活⽤した⾏政を総合的に推進し、都政のQoS(クオリティ・オブ・サービス)を飛躍的に向上させるため、2021年度に設置されたデジタルサービス局が 旗振り役・牽引役となり、都庁内のデジタルツールの導⼊等を進めています。
そうした中、食品衛⽣法が改正され、国際標準の食品衛⽣管理⼿法であるHACCP (ハサップ、Hazard Analysis and Critical Control Point) による衛⽣管理が豊洲市場を含む全ての食品関係事業者へ導⼊されたことに伴い、市場衛⽣検査所では事業者のHACCP 実施状況について、聴き取りや実施記録の確認などのプロセスを継続的に記録に残し、効率的に管理していくことが必要となりました。
これをきっかけとして一気にデジタル化へと動きました。以前にコロナ対策の関連業務で「職員が飲食店に伺い、タブレットを使いながら点検していく」という業務をkintoneで運⽤した経験がありました。今回の豊洲市場のケースにもそのまま活⽤できる見込みのもと導⼊したのが経緯です。
監視指導結果を⼊力するアプリの他、有毒⿂の写真や様々な通知、資料などを搭載する資料⽤アプリなどを開発し、日々、現場で活⽤しています。
職員がタブレットをもって仲卸事業者を訪ね、kintone 上のチェックリストを活⽤して点検していきます。情報がオンラインで常にチームメンバーと共有でき、⼿軽にコミュニケーションが取れるようになりました。仲卸事業者からの質問への回答や即時な判断が必要な事項の確認から、他のメンバーへの申し送り、ちょっとしたメモや写真の共有まで、以前であれば事務所で⾏っていたところ、チャット掲⽰板にさっと書けば済むようになりました。チームの力で業務に当たれる体制がkintoneを起点に出来上がったと⾔えます。 それから、以前はチェックリストの紙を事務所に持ち帰ってエクセルに打ち直す作業が必要でしたが、kintone であれば点検作業しているその場で直接データをクラウド上に蓄積でき、⼿⼊力の⼿間が省けます。
それだけでなく、スムーズなデータベースの構築は、引き継ぎの場⾯や継続性が求められる業務において、利便性の向上のみならず、監視指導内容の平準化を担保する重要な仕組みとなります。「現場では無くてはならないものになっている。」といった感想も上がっていますから、導⼊は正解でした。
◯ジョイゾーの「⼿書き2プラグイン」はどういった目的で導⼊されましたか?
以前kintone を利⽤した他のプロジェクトで、事業者の⽅からタブレット上でサインをいただくための機能が必要でした。そのプロジェクトで⼿書き2プラグインを使った際に結構評判がよかったんですね。内部での議論を経てkintone に実装したところ、大変スムーズに業務が回るようになりました。
◯プラグインの導⼊によってどのような効果がありましたか?
一番の効果はアナログとデジタルの良さを両⽴し得た点です。アナログにはアナログの良さがあるのも事実で、ちょっとしたメモをすぐに書けたり、聞いた内容をそのまま⽂字に残せたりと、情報を記録する作業に関して紙とペンの⾃由度はやはり⾼いです。
kintone導⼊当初は、チェックリストをチェックボックス型にして、 それをチェックしていくスタイルで運⽤しようとしたのですが、項目を探して数字や⽂章などを選んで⼊力するのはかえって時間がかかることがわかったのです。また、ヒアリングなどの業務にはありがちですが、回答いただく⽅は必ずしもチェック項目の順番通りに答えてくれるわけではありません。記録者は前後の項目を何度も⾏ったり来たりして記録しなければならず、現場の職員からははっきりと「使いにくい」と⾔われました。ベストなやり⽅は⼿書きであるという意見も上がりました。かと⾔って、紙とペンのままだと DX にはならない。「慣れ親しんだアナログな⼿書き」と「デジタル化」の橋渡しとなったのが⼿書き2プラグインです。
現在はチェックリストを画像でkintoneに取り込み、その上にApple Pencil を使って⼿書きできるようなシステムに作り変えています。紙とペンと変わらない⼿書き感と⾃由度で記録できるうえ、対応進捗別に⽂字の⾊を変えれば漏れやミスの防⽌にも役⽴ちます。点検の結果、事業者の項目ごとの達成状況を数値化して記録するだけではなく、数値化しにくい細やかな情報を画像で丸ごと蓄積することができるため、継続的な指導がよりスムーズに⾏えるようになりました。
都庁はまさに今デジタル化を進めている最中ですが、特に都民や事業者とのやりとりが多い現場では、紙での業務が少なくありません。それらをデジタル化していく中で、いきなり「紙業務全部なくします!100%電⼦化します!」とやろうとしても、現場では受け⼊れられない時もあります。そうした状況にあって、アナログな⼿書きの良さをデジタルの中で実現できる⼿書き2プラグインの導⼊は⾮常に好事例ですね。
豊洲市場の衛⽣監視業務は一つのDX 成功例となったので、都庁の他の部局への横展開を図っていきます。
kintoneはとっつきやすさという意味でポテンシャルの⾼いツールだと思います。この特性を⾜がかりに、市場衛⽣検査所では職員たちが⾃ら⼿を動かして開発に取り組んでおり、試⽤と改善のサイクルが既に⾃⾛してい ます。「壊しても大丈夫」と、kintoneの編集権限も最初から現場職員に渡しています。
プログラミング経験の有無を問わないkintoneの触りやすさに対して、デジタルに縁の無かった現場の職員も、検討当初から通勤時間 に動画サイトの解説動画で勉強し、⾃分たちがもっと使いやすく、もっと業務ニーズに合うような改良が⾏われました。現場でのアップデートが進むことで、ユーザー目線での業務改⾰を進めることができました。こうしたデジタル化に現場の職員が関わることで、今後、「この業務もデジタル化できるんじゃないか?」「サクッと作って運⽤してみるのはどうか?」といった問いを頭に浮かべながら仕事と向き合うことも増えてくる のではないかと考えています。
今回は現場職員の協力もあり、kintone のようなノーコード/ローコードツールによる開発を通じて、デジタル化への主体性を引き出すことができたことが成功のポイントになりました。現場を含めた都庁全体のDX改⾰はまだスタートしたばかりなので、引き続きこうした取組を現場の意識改⾰にも活かせていければと思います。
利用人数 | 約30名 |
利用部門 | 福祉保健局 市場衛⽣検査所 |
利用端末 | iPad |
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