新幹線メンテナンス東海株式会社 様
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600人規模の入所管理や個別用件の確実な連絡をクラウド上でリアルタイムに行える仕組みを実現できました
従来から踏襲されていた紙、電話、ファックスといったアナログな手段を多用した作業がメインとなっていました。
そのような中、2020年11月に、従業員の働く環境改善をはじめとした、様々な経営課題に対応すべく「イノベーション推進部」が新設されました。各職場の休憩室や作業スペースのリノベーションに取り組む中、課題の一つに壁一面の掲示物がありました。
従来の運用では、廊下を占拠するように設置された長いホワイトボードに社員一人ひとりの名前が書かれた名札マグネットを貼り付け、出勤時に名札を裏返すことで出勤場所に入室(以下、入所)したことを管理者に知らせる仕組みを取っていました。
しかし、この方法にはいくつもの課題がありました。
まず、従業員約600人分の名札を貼り替える作業に、管理者2~3人で日々約2時間も費やしており、業務負担が非常に大きかったです。
また、入所状況を確認するには自席からホワイトボードを見に行く必要があり、リアルタイムでの状況把握が難しいうえに、貼替作業後に出勤者の変更が発生した際は貼替が必要でした。
さらに、従業員への連絡事項は名札マグネットに付箋を貼って伝えていましたが、付箋が剥がれて伝達が漏れるケースも見られ、緊急連絡が必要な場合は構内スピーカーや電話を使用できたものの、従業員、管理者双方の業務を中断させることとなり、生産性を損なっていました。
・2~3人の管理者が毎日2時間かけて名札マグネットの貼り替え作業を行っており、入所確認の業務負荷が大きかった
・従業員の入所状況のリアルタイム把握が困難だった
・従業員への連絡事項を付箋貼りやスピーカー放送に依存しているため、情報伝達の確実性が低く、業務が中断されるなど生産性を損なっていた
・2~3人の管理者で毎日2時間かかっていた出勤者名の貼替作業が1人で5分程度に短縮され、年間約1800時間の工数を削減できた
・QRコード式の簡単な打刻を採用することで、従業員側は簡単な操作で入所登録ができ、管理者側はリアルタイムでの入所把握が可能になった
・打刻時に連絡事項を表示する機能を実装し、情報伝達を確実にする仕組みを整えた
入所管理システムをkintoneで構築しました。
このシステムの中核は、入所有無を記録する「入所管理アプリ」と、従業員宛の用件を登録・管理する「用件アプリ」です。
加えて、基幹システムから日々の勤務予定データを取り込む「就業管理データアプリ」krewData専用アプリを作成し、社員情報、事業所、担当業務といった各種マスタと連携させることで、600人規模の入所管理や個別用件の確実な連絡をクラウド上でリアルタイムに行える仕組みを実現できました。
本システムの開発は、2020年のフェーズ1と2024年のフェーズ2の2段階で実施しました。開発期間を抑えるため、まずは最小限の機能を実装して運用を始め、その後、現場での運用経験をもとに段階的に機能を拡張するアプローチを採用しました。
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フェーズ1では独自の勤務予定データとQRコードの読み取り時間を登録する機能を実装しました。
据え置き型のタブレット上でQRコードを読み取ると、社員番号が自動で反映する仕組みです。
社員証をピッ!とかざす直感的な仕組みなので、従業員に対し特別な説明会を行うことなくスムーズに導入できました。
この新システムにより、従来のホワイトボードへの名札マグネット貼り替えや付箋を使った連絡事項の伝達といった従来の作業が一掃されました。
これまで2~3人の人手で毎日2時間もかかっていたマグネットの貼り替えが1人で5分程度の作業で済むようになり、年間約1800時間の工数削減を実現できています。
管理者の負担が大幅に軽減され、本質的な業務により多くの時間を充てられるようになりました。
また、ジョイゾーさんの提案による※「フルスクリーンプラグイン」を採用し、従業員への連絡事項一覧をデジタルサイネージ化しました。モニターを従業員が必ず立ち寄る場所に設置し、用件の見逃しを防いでいます。
※(2024年9月当時)
フェーズ2の開発では、フェーズ1で構築した基盤を活用し、2年間の運用で明らかになった課題を解消するための改良を行いました。
特に、用件伝達の機能拡張に注力しました。
従来のシステムでは、連絡事項がモニター上に一括表示されていたため、表示件数が多い場合には自分宛ての用件を探すのに時間がかかり、画面のスクロールによって情報を見逃す恐れもありました。
また、自分への連絡事項が他の人にも見えてしまう点もプライバシー保護の観点で課題となっていました。
新システムでは、従業員が出勤時にQRコードを読み取るとその場で自分宛ての連絡事項がポップアップ表示される機能を追加し、従業員は自分に関連する用件のみを効率的に確認できる仕組みです。個人情報の保護と確実な情報伝達を両立したことで、より完成度の高いシステムへとアップデートできたと考えています。
パートナーには、kintone開発の豊富な実績とサイボウズパートナーとしての高い評価を持つジョイゾーさんにお願いしました。
そもそもkintoneを採用した理由ですが、短期間かつ低コストで必要最小限の機能を実装できる点、専門知識がなくても柔軟にカスタマイズできる点、そして既に社内の別業務での運用実績があった点がkintone採用を後押しするポイントとなりました。
フェーズ1、フェーズ2ともに1~2ヶ月という短期間のスケジュールをジョイゾーさんに組んで頂きましたが、そのスピード感がむしろプロジェクト全体に良い緊張感を生んだと思います。
公共インフラを担う企業として、通常業務に支障や混乱をきたすことなく円滑にシステムを導入できたのは大きな成果でした。
フェーズ1では対面、フェーズ2ではオンラインを中心に進めました。
オンラインだと細かい部分で認識のズレが生じないか不安もありましたが、ジョイゾーさんによるテキストベースの情報共有が打ち合わせを補完する形でうまく機能し、コミュニケーションに関して特に問題はなかったです。
当初期待していた課題解決についてはほぼ満足のいく結果が得られました。
新しいシステムの運用を始めたばかりなので、まずは従業員の皆さんに慣れて頂きながら、導入済みの事業所で具体的な改善効果を出していきたいです。
今後は、導入効果に対する社内評価を踏まえて、更なる業務改善におけるkintoneの活用を進めていきたいと考えています。
利用人数 | 約200名 |
利用部門 | 本社、各事業所 |
カスタマイズの有無 | あり |
利用プラグイン | 手書き2プラグイン、フルスクリーンプラグイン(2024年9月当時) |
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。